広報オンライン(アーカイブ)
March 14, 2023
「武島文庫」
▼武島又次郎(羽衣)の詠歌等が掲載された『新年御歌會始歌集』(住吉大社遷宮記念出版、昭和三十八年一月一日、西宮一民、住吉大社社務所)が発行されました。▼当該詠歌等は次のとおり。
①曉山雲 大正十二年一月二十九日 御歌所寄人從五位 武島又次郎(p.231)
たかきひくきけちめもきえて曉の雲にのとけし甲斐のむら山 一五二一
②新年言志 大正十三年一月十九日 召歌 御歌所寄人從五位 武島又次郎(p.237)
天地のよみかへりくるここちしてあなすかすかし年のはしめは 一五六三
③山色連天 大正十四年一月二十日 御歌所寄人從五位 武島又次郎(p.243)
潮けむりはれたる浪にうきいててひとすちあをし沖の遠山 一六〇六
④河水淸 大正十五年一月十八日 御歌所寄人從五位 武島又次郎(p.250)
淸さより外になかるるものもなし塵をよそなる山川の水 一六五〇
⑤山色新 昭和三年一月二十八日 御歌所寄人正五位 菅原*朝臣又次郎上 *武島(p.256)
たつ年の光たたへてあたらしき競ふに似たり四方の山々 一六九六
⑥田家朝 昭和四年一月二十四日 召歌 御歌所寄人正五位 臣菅原朝臣又次郎上(p.262)
山のはににほふ朝日のかけみちてゆたかにあくるふもと田のさと 一七四一
⑦海邊巌 昭和五年一月二十九日 御歌所寄人正五位 臣菅原朝臣又次郎上(p.268)
磯のさきそひゆるいはほ遠からし音なく浪のよせかへる見ゆ 一七八三
⑧社頭雪 昭和六年一月二十三日 御歌所寄人正五位勲六等 臣菅原朝臣又次郎上(p.274)
江の島の大前鳥居ゆきはれて浪にかかやく珠の長橋 一八二九
⑨曉雞聲 昭和七年一月十八日 御歌所寄人正五位勲六等 臣菅原朝臣又次郎上(p.281)
杉村に夜霧なひきて明けやらぬ谷の一つ家にはとりのなく 一八七六
⑩朝海 昭和八年一月二十一日 御歌所寄人正五位勲六等 臣菅原朝臣又次郎上(p.287)
葦の屋にかけほす網の目はるに日影くまなき朝なきの海
⑪池邊鶴 昭和十年一月二十四日 御歌所寄人從四位勲六等 臣菅原*朝臣又次郎上 *武島(p.293)
ゆたかにも鶴そあそへる浪たゝぬ池の心をこゝろとはして 一九六四
⑫海上雲遠 昭和十一年一月二十日 御歌所寄人從四位勲六等 臣菅原朝臣又次郎上(p.300)
八百日行く航路の果も蔽ふらむ空打つ浪の末の白雲 二〇一四
⑬田家雪 昭和十二年一月二十六日 御歌所寄人從四位勲六等 召歌 臣菅原朝臣又次郎上(p.306)
夕食する田つらの庵に灯ともりて暖かけにもつもる雪かな 二〇六一
⑭神苑朝 昭和十三年一月二十四日 御歌所寄人從四位勲六等 臣菅原朝臣又次郎上(p.313)
朝日影玉のいさこに照りはえて踏むもかしこし神苑のうち 二一一〇
⑮朝陽映島 昭和十四年一月三十一日 御歌所寄人從四位勲五等 臣菅原朝臣又次郎上(p.320)
島一つ光の海の隈として日は昇りけりひむかしの空 二一五七
⑯昭和十五年一月二十九日 御歌所寄人從四位勲五等 臣菅原朝臣又次郎上(p.327)
二二〇四
⑰漁村曙 昭和十六年一月二十八日 御歌所寄人從四位勲五等 臣菅原朝臣又次郎上(p.332)
曙のひかりを浴みて千さと濱あまの八十船朝ひらきする 二二四三
⑱連峯雲 昭和十七年一月二十六日 御歌所寄人從四位勲五等 臣菅原朝臣又次郎上(p.340)
天そゝり並ふたかねのおこそかさ立ち重ねても見ゆる雲かな 二二九四
⑲農村新年 昭和十八年一月二十八日 召歌 御歌所寄人從四位勲五等 臣菅原朝臣又次郎上(p.347)
小墾田は日ことひらけて田人らかちからみなきる年立ちにけり 二三四三
⑳海上日出 昭和十九年一月二十八日 御歌所寄人從四位勲五等 臣菅原朝臣又次郎上(p.354)
二三九三
㉑社頭寒梅 昭和二十年一月二十二日 御歌所寄人從四位勲五等 臣菅原朝臣又次郎上(p.361)
夜のまにもうつりて來にし飛梅の冬いちはやく香にそ匂へる
㉒松上雪 昭和二十一年一月二十三日 御歌所寄人從四位勲五等 臣菅原朝臣又次郎上(p.367)
さえくれし富士のねおろし吹きやみて雪に明けゆく三保の松原 二四八八
㉓朝雪 昭和二十四年一月二十四日 正四位勲五等 武島又次郎(p.379)
とりくのすかたもみえてうめやなき雪おもしろきけさのにはかな 二五七二
㉔新年御歌會始の史的概説 五、昭和初期・・・・・・(略)宮中では、昭和五年の場合をみると(略)御歌所寄人としては(略)武島又次郎(以下略)(p.459)